泣き虫探検隊、夜桜に出動する

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夜、今日は長男とふたりでドライブに出かけました。

理由は――寝たくないから。

最近の長男は、眠ることに対してちょっと抵抗感があるようで、「まだ寝たくない!」「なんか楽しいことしたい!」というモードに入ると、布団の中でゴロゴロしながら不満をぶつけてくることが増えてきました。

そんなとき、我が家にはちょっとした“裏技”があります。

それが、「夜のドライブ」。

家の近くを少し車で走って、いつもと違う景色を見せてあげると、不思議と気持ちが落ち着いて、最終的にはスヤスヤと夢の中へ。エンジンの振動と街の灯りが、心地よい子守唄になるみたいです。

今日は、春の風が心地よかったこともあり、「夜桜」を見に行くことにしました。

有名な桜並木のライトアップスポットを、車の中からぐるっと回ってみようと。

夜の道路を走る車の中、長男は最初こそ「ねむくないよ!」と宣言していましたが、車が動き出すと静かに外を見つめ始めました。

ライトアップされた桜は、昼間とはまったく違う表情をしていて、どこか幻想的で、少しだけ寂しげで、それでいてとても美しかったです。

でも、長男が注目していたのは、桜じゃありませんでした。

「パパ、あの人たち何してるの?」

「歩いてるの?」

「桜の下、歩いてるよ?ずるい!」

車から見える歩道には、大人たちがゆっくり桜の下を歩いていました。

カップル、友だち同士、仕事帰りのサラリーマン…どの人も、どこかうっとりとした表情で、夜の桜を楽しんでいました。

その光景が、長男にはとても羨ましく見えたみたいです。

「ぼくも歩きたい!なんでぼくだけダメなの!?ずるいよ!!」

突然、大粒の涙がぽろぽろこぼれ始めました。

「今日はもう遅いからね。夜遅くに子どもが歩くのは、危ないから」

と、やさしく伝えましたが、納得できるはずもなく…。

「大人だけずるい!」

「ぼくだけ、なんで歩けないの?」

「パパだけ、ずるい…!」

泣きながら、何度も何度も繰り返す言葉に、思わず胸がギュッとなりました。

かわいそう。でも、かわいい。

彼のその“悔しさ”は、本気なんです。まだ小さいのに、そんなふうに“外の世界”に憧れるようになったんだなって思うと、成長の証でもあるんですよね。

「もう少し大きくなったら、夜の散歩、一緒にしようね」

そう約束して、ゆっくり帰路につきました。

でも彼はずっと泣いていました。

「ずるい…ずるい…」って呟きながら。

おかげで、眠るまでにはちょっと時間がかかったけれど、最後はふっと力が抜けたように、静かに寝息をたててくれました。

夜のドライブは、ちょっとした“魔法”みたいなものです。

だけど、その魔法には時々“副作用”もあるみたい。

楽しいところに連れていくと、喜んでくれる。

でもその分、刺激が多すぎて、彼の中の“思い”が溢れてしまう。

まだまだ小さな心には、外の世界はキラキラしていて、手を伸ばしたくなるものばかり。

でも今はまだ、その“全部”に触れることはできないんだよね。

だけど――

きっと来年は、いや、もしかしたら今年の終わりには、一緒に夜道を歩いて、手を繋いで、同じ景色を見られる日が来るかもしれない。

そんな未来が、ちょっとだけ楽しみになった夜でした。

今日の君の涙も、将来きっと、笑って話せる“宝物の記憶”になる。

そう思いながら、パパはゆっくり寝ている長男を車からおろし、寝室に寝かせて、灯りを消しました。

おやすみ、泣き虫探検隊長。

また、どこかへ出動しようね。

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